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West-East 11

見たまま感じたままを書いていきます

「兵士とセックス」から

 

米英軍はノルマンディー上陸に先立って、フランス占領中のドイツ軍を弱体化するため、フランス全土のドイツ軍補給所、駅舎、道路、橋等を攻撃した。
1944年だけで、503,000トンの爆弾が投下され、35,317人が犠牲になった。B17の命中精度は低く、目標から4キロも離れたところに爆弾が落下したこともあった。

 

米兵の多くはフランスを開放したとのは俺たちだから、フランス女を自由にする権利があると信じていた。

フランスでは100年の間、メゾン・クローズ(医療従事者と警察の管理下にある売春宿)の制度の下に公認されていた。

1944年9月、フランス開放のためブルターニュを進軍中の第29歩兵師団を率いる米軍のチャールズ・ガーハート将軍は部下の性処理が必要と考え、参謀長に売春宿を設けるように指示した。
その仕事は民事部に回り、民事官エイサ・ガーディナーはフランス警察と相談し、モロというポン引きを紹介された。ガーディナーはモロと契約し、売春宿を開かせた。
こうした「GI専用売春宿」は12の師団が1943年から1945年に渉って、フランスとイタリアで開設された。

米軍は兵士とフランス人売春婦とのセックスは問題にしていなかったが、セックスによって性病を感染することは戦力の低下につながるので、問題視した。
イタリアでの性病感染率は1000人つき推定168人となった。

フランスでは物資が不足したいたため、タバコや日用品などとの交換で性交渉を簡単に許す女性が多数いた。

パットン将軍は、部下が少しくらい娼婦買いをしても誰の迷惑にもならないと考えており、パレルモに進軍したとき、六軒の買収宿に医療チームを設立した。さらにパリから女を呼び寄せるように命じた。

米兵の多くは命がけで、フランスを解放してやったのだから、フランス女を自由にする権利はあると考えていたし、フランス女は尻軽で、節操がないと信じていた。

米軍の中枢が、恐れたのは、性的接触を絶つことによって、部下たちが同性愛に向かうことであった。男性同士のアナルセックスやフェラチオをしたものは営倉送りや不名誉除隊、刑務所送りなどになる者がいた。

米兵がフランス女性をレイプする事件も起こったが、米軍はレイプ犯の多くは黒人であるとして、人種問題にすり替えた。

 兵士とセックスの問題はいかなる軍隊でも発生する。
極限状態で殺し合いをしている兵士は生存本能として女性を求めるのであろう。
セックス自体は個人の問題で、軍が関与することではない。軍にとって問題なのは、性病の罹患で、直接、戦闘能力の低下につながってくる。ここに軍が売春婦や売春宿を管理する必然性が生まれる。

システムとしての売春は専門業者の領域であり、軍にとっては外注で済ますほうが効率的である。軍は兵士が性欲を満たす仕組みの必要性は認めても、直接関与する必然性はない。
外部にセックスの対象を求めることを禁じれば、内部で同性愛の問題が生じる。こちらは禁忌である。日本では戦国時代から武家社会や仏門に衆道があり、同性愛はあまり問題にならなかった。この点は欧米と大きな違いである。

監訳者の佐藤文春は24ページに渉って自説を開陳している。
本書の内容とは離れて、旧日本軍が公然と慰安所を設置・運営していたと断定している。当然であるが、こうした事実は否定されている。
事実は本書の米軍の手法と同じく、専門業者に委ねたのである。餅は餅屋に任せるが常識というものである。